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Tuesday, January 21, 2025

グランドピアノのブッシングクロス張り替え

ヤマハC3X(2014年製造、同年新品で購入)のキーブッシングクロス(鍵盤の裏側に貼られているフェルト状のテープのような布)


良く使う中音~次高音を中心に、経年劣化によりクロスの真ん中がへたってきました

このヘタリによって

・二度打ちに若干の寄与度

・音の濁り

・タッチ感が変

・ぱっと見で鍵盤の隙間が偏ってきた

などの弊害が出てきました

そこで、張り替えました


所要時間は、足掛け3日

ただし、後述のとおり、最初から正しい道具を揃えていれば、1~2日で終わったはずです


(道具)

・古いクロスを剥がすための専用コテ

・交換用クロス(ヤマハC3Xに適合するのは厚み1.1mm / 誤りは1.2mmと1.3mm)

・クロスを押さえるウェッジ(C3Xに適合するのは3.7mm / 誤りは3.2mmと3.5mm)

・クロスを貼るためのPVC用ボンド(アマゾンで入手)

合計8000円くらい


その他、家にあったもの

・プラスドライバーとマイナスドライバー(鍵盤部分を分解するため)

・ふつうのはさみ(キーブッシングクロスや紙を切るため)

・赤ちゃんの爪切り用はさみ(白鍵のセンターと、黒鍵のセンター及びフロントを切りそろえるため)(白鍵のフロントは、8mmの長さにあらかじめ切って貼る)

・先の細い、化学実験用ピンセット(白鍵のフロントを貼るため)

・スポイト(旧キーブッシングクロスに水をかけ、熱いコテを使って剥がす)

・名刺を8ミリ幅に切ったもの(糊付け用)


・Howard Music Industriesさんは、ボンドを塗るために爪楊枝、キーブッシングを切るためにはナイフをすすめられていました

 が、私には、いずれも時間がかかりすぎました

 また、ナイフを使うことで裏側とはいえキーに傷が入るのも気になりました

 したがって、つまようじではなく8mm程度の幅の厚紙(私は薄い名刺用紙を切って自作)、ナイフではなく普通のはさみと赤ちゃんの爪切り用のはさみで先のとがっているもの(ハサミ部分が弧になっているタイプ)にしました


・日本の調律師の中には、PVC用ボンドではなく、木工用ボンドを使う人もいます

 私も少し試しましたが、作業がしにくく、すぐに止めました

 また、ヤマハはおそらく木工用ボンドの粘度を下げたものを使っていますが、うちのピアノではこれが垂れたままで取り除かれず(しかも木くずも一緒)、キーとピンが突っかかって動きが悪いまま出荷されて生きていました・・・全く・・・


(作業中の画像)


・1.1mmのフェルト(ヤマハ純正は1mm程度)

・3.7mmの駒

・隙間埋めの紙(1.1mmのフェルトと3.7mmの駒を使うならば、蛇足で不要)

・乾くまで、1時間くらいは待つべし


(センターのブッシングクロスの新旧比較)


・左が交換前(1ミリか1.1ミリ、芯材なし)使用頻度が少なく出荷段階に近い最低音A0

・右が交換後(1.2ミリ厚のカシミア、芯材あり)


 最初は、販売店の解説通りに買ったもの(クロス1.2mm、ウェッジ3.2mmと3.5mm)で、20鍵盤ほど作業しました

 しかし、キーピンのための空間が足りずキツキツで、キーが上に戻らなくなりました


 次に、シュタイングレーバーの代理店のブログを参考に、ヤマハ向きという1.1mmのクロス&3.7mm幅のウエッジを買い足しました

 これでうまくいきましたので、先に張った1.2mmも全て剥がし、1.1mmでやり直しました


1番は張り替え前のオリジナル、29番は1.1mmで張り替えた後です

両者は酷似し、何ならオリジナルのほうが薄いようです














作業が終了し、音を確認したところ、聞き違えるように良くなりました

合わせて、ばねの強さを再度調整し、ハンマーヘッドの高さを直して、作業終了


ところで、写真の背景のキーにある鉛筆の赤チェック、気になりませんか?

製造段階または鍵盤剥がれ作業段階のものです

こんなものを残すなんて、ホント、ヤマハの仕事って雑


なお、CXの前のシリーズのCシリーズでは、たとえ毎日何時間も練習し、あるいは生徒さんを教えていても、ほんの11年でブッシングクロス交換が必要なんてことにはならないようです


(参考動画)





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