二度打ちの根本的原因は、今まで書いてきた通り、アクションにあります
ただし、バックチェック調整を、状況改善のための選択肢とする調律師もいます
(バックチェックスキンの張り替え)(上の図の84):酷く擦り切れているならば、交換してもいいと思います
(バックチェックワイヤーをペンチで動かして前倒しする)(上の図の87):やめたほうがいいかと思います ー アクションが不適切なまま、ワイヤーの角度を垂直に近づけても、数か月で再発しますし、繰り返すことでワイヤーが限りなく前倒しとなりリミットを迎えます
二度打ちの根本的原因は、今まで書いてきた通り、アクションにあります
ただし、バックチェック調整を、状況改善のための選択肢とする調律師もいます
(バックチェックスキンの張り替え)(上の図の84):酷く擦り切れているならば、交換してもいいと思います
(バックチェックワイヤーをペンチで動かして前倒しする)(上の図の87):やめたほうがいいかと思います ー アクションが不適切なまま、ワイヤーの角度を垂直に近づけても、数か月で再発しますし、繰り返すことでワイヤーが限りなく前倒しとなりリミットを迎えます
経年劣化で、スプリングが弱まり、音ぬけが発生しやすくなることがあります
そんな時は、スプリングを引き上げて調整します
ところが、スプリングを引き上げすぎ、弾力が強くなりすぎると、今度は二度打ちという問題が起きます
この解決方法は、先の作業の逆回し
スプリングを下げて弱めて、丁度良いところで止めます
弱すぎると今度は再び音ぬけするので、行き来しながらベストを探ることになります
強くするのも弱くするのも繊細な作業で、ある程度ピアノが弾けないと、調律師でも適正にはできません
(二度打ちの原因の一つを弾き方の問題という調律師もいますが、さすがに論外です)
スプリング調整に限りませんが、ピアノをメンテナンスして良い音色を出すのであれば、個人的には、最低限でも、ヤマハの演奏グレード3級以上、中国の音大の音楽検定の7級以上は欲しいところです
ただ、残念ながら、日本の調律師の100人に1人も、これを満たすことはないでしょう
そうすると、やはりピアノを弾く人本人がメンテナンスすることが最優先となり、自分でやり切れないほどにピアノが劣化したらローランドのLXシリーズの上級機種(32万円以上)に買い替えるのが妥当かもしれません
上がバネを引き出す道具、下がバネを引き出した状態
ヤマハC3X(2014年製造、同年新品で購入)のキーブッシングクロス(鍵盤の裏側に貼られているフェルト状のテープのような布)
良く使う中音~次高音を中心に、経年劣化によりクロスの真ん中がへたってきました
このヘタリによって
・二度打ちに若干の寄与度
・音の濁り
・タッチ感が変
・ぱっと見で鍵盤の隙間が偏ってきた
などの弊害が出てきました
そこで、張り替えました
所要時間は、足掛け3日
ただし、後述のとおり、最初から正しい道具を揃えていれば、1~2日で終わったはずです
(道具)
・古いクロスを剥がすための専用コテ
・交換用クロス(ヤマハC3Xに適合するのは厚み1.1mm / 誤りは1.2mmと1.3mm)
・クロスを押さえるウェッジ(C3Xに適合するのは3.7mm / 誤りは3.2mmと3.5mm)
・クロスを貼るためのPVC用ボンド(アマゾンで入手)
合計8000円くらい
その他、家にあったもの
・プラスドライバーとマイナスドライバー(鍵盤部分を分解するため)
・ふつうのはさみ(キーブッシングクロスや紙を切るため)
・赤ちゃんの爪切り用はさみ(白鍵のセンターと、黒鍵のセンター及びフロントを切りそろえるため)(白鍵のフロントは、8mmの長さにあらかじめ切って貼る)
・先の細い、化学実験用ピンセット(白鍵のフロントを貼るため)
・スポイト(旧キーブッシングクロスに水をかけ、熱いコテを使って剥がす)
・名刺を8ミリ幅に切ったもの(糊付け用)
・Howard Music Industriesさんは、ボンドを塗るために爪楊枝、キーブッシングを切るためにはナイフをすすめられていました
が、私には、いずれも時間がかかりすぎました
また、ナイフを使うことで裏側とはいえキーに傷が入るのも気になりました
したがって、つまようじではなく8mm程度の幅の厚紙(私は薄い名刺用紙を切って自作)、ナイフではなく普通のはさみと赤ちゃんの爪切り用のはさみで先のとがっているもの(ハサミ部分が弧になっているタイプ)にしました
・日本の調律師の中には、PVC用ボンドではなく、木工用ボンドを使う人もいます
私も少し試しましたが、作業がしにくく、すぐに止めました
また、ヤマハはおそらく木工用ボンドの粘度を下げたものを使っていますが、うちのピアノではこれが垂れたままで取り除かれず(しかも木くずも一緒)、キーとピンが突っかかって動きが悪いまま出荷されて生きていました・・・全く・・・
(作業中の画像)
・1.1mmのフェルト(ヤマハ純正は1mm程度)
・3.7mmの駒
・隙間埋めの紙(1.1mmのフェルトと3.7mmの駒を使うならば、蛇足で不要)
・乾くまで、1時間くらいは待つべし
(センターのブッシングクロスの新旧比較)
・左が交換前(1ミリか1.1ミリ、芯材なし)使用頻度が少なく出荷段階に近い最低音A0
・右が交換後(1.2ミリ厚のカシミア、芯材あり)
最初は、販売店のお進めにしたがって買ったもの(クロス1.2mm、ウェッジ3.2mmと3.5mm)
しかし、キーピンのための空間が足りずキツキツで、キーが上に戻らなくなりました
つまり、この厚みでは、不適切だったのです
そこで、シュタイングレーバーの代理店がヤマハ向きとしている、1.1mmのクロス&3.7mm幅のウエッジを買いなおし、張り直しました ー これでうまくいきました
1番は張り替え前のオリジナル、29番は1.1mmで張り替えた後です
両者は似ていますが、オリジナルのほうがほんの少し薄いようです
作業が終了し、音を確認したところ、聞き違えるように良くなりました
ところで、写真の背景のキーにある鉛筆の赤チェック、気になりませんか?
製造段階または鍵盤剥がれ作業段階のものです
こんなものを残すなんて、ホント、ヤマハの仕事って雑
(参考動画)
グランドピアノの場合です
今回は、ハンマーヘッドと弦の距離が空きすぎている場合、逆に詰まっている場合です
ハンマーヘッドを整えたあとに二度打ちする場合などは、特に弦とハンマーの距離問題の疑いが濃厚です
①用意するもの
キャプスタンドライバー(だいたい2000円弱)
②調整する部分
キャプスタンスクリュー こちらの図の番号72
③作業内容
キャプスタンスクリュー(図の72)を回し、ハンマーヘッド(図の33)の高さを調整する
スクリューを右に回すとハンマーが上がり、左に回すと下がる
なお、出荷段階のハンマーの高さは、低音が最も高く、中音が次に高く、次高音がその次、高音が最も低い(次高音と高音が同じ高さのピアノもあります)という、階段のような構造です
【アップライトピアノの場合】
【その他の手段】
①調律師に依頼する?
良い調律師に出会えているならば、それでいいのですが
私は残念ながら・・・
②高品質の電子ピアノ
ピアノ・リアリティ・テクノロジーを搭載したローランドLXシリーズ(中価格帯のLX6で33万円弱)(10年保証付き)が、ベストの選択肢かもしれません
良く調整されたスタインウエイは、LXシリーズでコンサートグランドを選んだ場合とソックリで、逆にスタインウェイの整い方に感心するほどです
イタリアのオペラ歌手も高品質の電子ピアノを使っています
適切なメンテナンスがなければアコースティックピアノは絶望的に質が劣化しますし、適切な調律師に出会って適切にメンテナンスを続けるのは困難だからです
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